研究内容 (Research)

<研究>

本研究室は、獣医学を基盤として、臨床薬理学・炎症制御・腫瘍研究・ドラッグデリバリーシステム(DDS)、原虫病疫学調査を横断的に探究しています。伴侶動物や産業動物を対象とした研究を通じて、動物医療の質の向上と、人獣共通の医療課題の解決に貢献することを目指しています。
特に、炎症や腫瘍の病態を分子レベルで理解し、その知見をもとにした新しい治療戦略やバイオマーカーの開発に重点的に取り組んでいます。基礎研究から臨床応用までを一体的に進めることで、現場で役立つエビデンスの創出を重視しています。

・乳牛の行動センシングとAIによる疾病予測

本研究では、乳牛に装着した3D加速度センサーから得られる活動量、反芻、採食などの行動データと疾病発症記録を解析し、周産期疾病の発症を早期に予測するAIモデルの構築に取り組んでいます。疾病発症前に現れる行動変化をAIを用いて解析し、疾病の早期発見・予防、動物福祉の向上、スマート農業への応用を目指しています。

・腫瘍病態生理と抗腫瘍薬の臨床薬理学的研究

本研究では、担癌マウスモデルにより、腫瘍の病態生理学と抗腫瘍薬の臨床薬理学的評価を行っています。抗がん剤だけでなく、アカエゾマツ由来成分など天然物質由来の候補化合物も対象とし、Gap Junctionを含む細胞間ネットワークや腫瘍微小環境に着目した解析を進めています。さらに、抗生物質をはじめとする薬剤を腫瘍へ効率よく届けるDDSの開発にも取り組み、より選択性の高い治療システムの構築を目指しています

・プロカルシトニン・ガイド下抗菌薬療法指針の確立

本研究では、感染症に対する抗菌薬治療が本当に必要か、またどのくらいの期間投与すべきかを科学的に判断するための指針づくりを行っています。プロカルシトニン(PCT)および各種炎症マーカーを指標とした治療アルゴリズムを構築し、より適正で負担の少ない抗菌薬使用の実現を目指します。
牛や馬を対象とした高感度PCT抗体の作成にも取り組み、炎症・エンドトキシン・バイオマーカーをキーワードに、家畜医療と人医療の双方に応用可能な診断・治療戦略の確立を目指しています。

・マクロライド抗菌薬の新作用解明

呼吸器疾患牛を対象に、15員環マクロライドとNSAIDsの合剤による治療効果と安全性を検証し、マクロライドの新たな作用機序の解明を行っています。特に、細菌間ネットワーク(クオラムセンシング)の遮断による増殖抑制や炎症産物放出の抑制といった免疫応答・臨床薬理学的側面に注目し、子牛育成牧場での臨床試験を通じて実践的なエビデンスを蓄積しています。これらの研究を通じて、動物医療の質向上と、ヒト医療にも応用可能な知見の創出を目指しています

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